2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧
一通り罰を受け終わり、ポーターは息も絶え絶え、自室に引き上げた。幸い他の訓練生たちは授業に行っており、居室には自分以外誰もいない。ポーターはベッドに倒れ込み、うつ伏せのまま放心した。どのくらい経っただろうか。こちらへ近付いてくる長靴の音に…
その日未明、泣き腫らし、片頬に指の跡まで付けて帰ってきた少年に、老教官はもとより主任教官も、強い言葉を掛けることはなかった。翌日、諸々の事後処理が済んだ後で、ゼイン=ミルズは改めて違反者を呼び出した。「さ、昨夜は多大なるご迷惑をお掛けして…
「全く公安は、どこまで人を虚仮にすれば気が済むんだ!!」勢い良く教官室の扉を開き、ゼイン=ミルズは息巻いた。「公安にいなかったのか」絶句するタリウスを横目に、老教官はかまわず上官に詰め寄った。あの後、部下たちから報告を受けたゼインは、単身…
「トレーズ殿」教官室には客人がいた。ファルコン=トレーズ、新兵の教育隊長であり、ゼイン=ミルズの教え子である。「ああ、教官。先生に頼まれて、ちょっとな」ファルコンの息が荒い。たった今駆けつけてきたばかりなのだろう。「それで、兵舎に住み込ん…
「失礼します」消灯後の兵舎は普段と変わらず静まり返っていた。だが、上官の許可を得て教官室に入室した瞬間、タリウスは現状が紛れもなく非常事態であると認識した。「君は今年の本科生をどう教育してきた」開口一番、ゼイン=ミルズは、そう言って鋭くこ…
ある夜のこと、急ぎの仕事があったユリアは、夜更けまで食堂で店を広げていた。自室ではなく食堂を仕事場に選んだ理由は、広い場所が必要だったことに加え、もうひとつ。居眠りの誘惑に打ち勝つためだ。「ああもう、限界だわ」だが、そんな彼女に睡魔は容赦…
一月弱ダラダラとお送りした本編もようやく終わりを迎えました。その間、たくさん一緒に楽しんでいただけたようで、ありがたい限りです。 鬼面~は、もともと話の筋がざっくりとしか決まっていなかったのですが、まさかおとうさんが白旗をあげるとは、自分で…
<style="color:gray"> ↓以下は、お題小説の形を取っていますが、「帰郷」の続きとなっております。 つい先日、「帰郷」と「三つ子の魂」の間にどんなやりとりがあったんだろう、そんなことを考えながら朝風呂に浸かっていたところ、降ってきた話です。10年越しw それにしても、朝</style="color:gray">…